“Challenge”というテーマが示す、新たな尾州の姿
近年、ファッション業界では“ウール産地”として知られてきた「尾州」が、その枠を超えて多様な素材の産地としても注目されつつあります。ウールという高級素材を長年扱ってきた中で培われた、丁寧で誠実なものづくりの姿勢が、他素材にも広がってきた結果といえるでしょう。
春夏シーズンであっても、ウールは本来の機能性を発揮する素材です。しかし、近年の厳しい暑さや、消費者のファッションに対する価値観の変化により、見た目の軽やかさや涼しさも、素材選びの重要な要素となっています。そうした中で尾州の産地では、天然素材に限らず、さまざまな素材(原料)の特性を組み合わせ、多様なニーズに応える提案を行っています。
このような背景のもと、「2026 Spring / Summer Bishu Material Exhibition」が、2025年4月15日(火)〜16日(水)に東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLにて開催されました。
エントランスホールは尾州を象徴する幕で装飾され、来場者を出迎えました。会場中央には、今シーズンのディレクション素材が展示され、テーマである“Challenge(チャレンジ)”が象徴的に提示されていました。この“Challenge”は、新しい時代に向けて、異なる価値観や要素を融合させようとする尾州の姿勢を表しています。
今回の展示会では、次の3つのコンセプトが提示されました:
1. GENTLE LADY(ジェントル・レディ)
レトロとコンテンポラリーをミックスし、優しさの中に少しの辛さを効かせた表現。クラシックな組織に、優しい色調と涼しげな春夏のムードを乗せた素材群です。
2. URBAN TREK(アーバン・トレック)
自然への憧れとアクティブな感覚を融合。ミニマルでコンパクトな素材に機能性を持たせた、軽やかなアウトドア調の素材提案です。
3. SPORTY FORMAL(スポーティ・フォーマル)
フォーマルをベースに、シック&セクシー、マスキュリン&フェミニン、スポーティ&テーラリングといった対比的な要素を融合。クラシック柄を大胆に取り入れたり、デニム調や透け感を加えたりと、尾州らしさと新しさが共存するネオクラシックな素材群です。
展示会の来場者数は、主催者発表によると昨年同シーズン比で微減の618名(学生を除く)でしたが、各ブースでは出品素材に対する活発な議論が行われ、滞在時間が長く感じられる場面も多く見受けられました。
春夏シーズンということもあり、天然素材との交織や、自社のアーカイブを現代的にアレンジした素材が目立ちました。特に、ここ数年は尾州らしからぬ新鮮な配色の素材が増え、品質の高さはもちろん、それ以外の面でも“尾州らしさ”を追求する姿勢が強く感じられます。これまでになかった提案が各社から見られたことからも、“Challenge”というテーマはまさに、今の尾州のチャレンジ精神を象徴するものだったといえるでしょう。
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【開催概要】
開催日程 | 2025年4月15日(火)~16日(水) |
開催時間 |
15日(水) 9:30~18:00 16日(木) 9:30~17:00 (最終入場は終了時間30分前まで) |
開催場所 |
WITH HARAJUKU HALL (3F) 東京都渋谷区神宮前1-14-30 |
主催 | 公益財団法人尾州ファッションデザインセンター |
入場 | 無料 |
出展社 |
岩田健毛織(株)/ 長大(株) / 時田毛織(株) / 日本エース(株) / 林実業(株) / ヒラノ(株) / ファインテキスタイル(株) / 三星毛糸(株) / みづほ興業(株) / 宮田毛織工業(株) / 虫文毛織(株) / 森織物(資) |
お問合せ先 |
公益財団法人尾州ファッションデザインセンター 愛知県一宮市大和町馬引字南正亀4-1 TEL:0586-46-1361 FAX:0586-44-7455 |