【セミナー】初めて学ぶ海外販売戦略基礎知識(ファンダメンタルズ)開催レポート

今年1~2月にかけて3回に分けて開催された“【セミナー】初めて学ぶ海外販売戦略基礎知識(ファンダメンタルズ)”は、大盛況のうちに幕を閉じました。本セミナーでは、武藤和芳氏(元スタイレム、現Muto Planning代表)を講師に迎え、延べ95名が参加。各回の平均参加者は30名前後で、半数以上が輸出未経験者でした。多くの参加者が真剣な眼差しで武藤氏の話に聞き入っている様子が印象的でした。

セミナーでは、理論だけでなく、実際の海外展示会の現状を紹介しながら、実践的な内容が伝えられました。例えば、欧米を中心に開催されている“海外素材展示会”(Miano UnicaやPremière Vision、他にミュンヘンやドバイでの展示会など)の状況を取り上げ、参加への不安を抱える事業者に向けて、単独出展よりもハードルが低いグループ出展(ジャパンパビリオンのような形態)を例に挙げながら解説。さらに、直近のMiano UnicaでJFWテキスタイル事業事務局とジェトロが主催したジャパンパビリオン“The JAPAN Observatory”の様子を画像とともに紹介し、受講者が具体的にイメージしやすいプレゼンテーションとなっていました。また、展示会への参加のみならず、サンプル制作からスワッチや着分オーダーを送った後の資金回収等、元コンバーターで培った経験を惜しみなく話していた。

また、武藤氏は「海外販路開拓のために一度だけ海外展示会に出展しても意味がない」と指摘。特に欧米のハイブランドバイヤーは信頼関係を重視するため、数年前に渡したスワッチから時間が経ってからオーダーが入るケースも多くあります。欧米のバイヤーは、アジア圏のバイヤーに比べてスワッチを大切に保管する傾向があるため、単発の出展ではなく継続的な出展がビジネスにつながることを強調。これは、かつての日本の商習慣にも通じる“信頼を築くこと”の重要性を、海外での繊維ビジネスに置き換えて解説していました。

セミナー後半のQ&Aでは、受講者の多くがなかなか挙手できない様子でしたが、終了後には名刺交換とともに「継続的なビジネス展開」に関する具体的な質問が多数寄せられていました。このことからも、尾州産地の輸出未経験者が、国内市場を視野に入れつつも、海外販路開拓に対して強い意欲を持っていることがうかがえました。

本来、輸出は円安の“今”が絶好のタイミングです。輸送費や時差といった課題はあるものの、日本の価格設定が海外市場にとっては“期間限定の割引価格”のように見える状況です。しかし、輸出事業は世界情勢とともに日々変化していくもの。事業者は、自社の意志や業務範囲、人材などの多くの要素を考慮しながら、慎重にタイミングを見極めることが重要だと感じさせられるセミナーとなりました。

【開催概要】

開催日 <第1回>2025年1月15日(水)13:30~15:00
<第2回>2025年2月12日(水)13:30~15:00
<第3回>2025年2月26日(水)13:30~15:00
開催場所 (公財)尾州ファッションデザインセンター 4階 「視聴覚室」
 <愛知県一宮市大和町馬引字南正亀4番地1>
タイトル 初めて学ぶ海外販売戦略基礎知識(ファンダメンタルズ)
~世界への販売のために絶対知っておきたい基礎知識~
講師 武藤 和芳氏(Muto Planning代表取締役社長)
主催 日本毛織物等工業組合連合会
共催 公益財団法人尾州ファッションデザインセンター
尾州テキスタイルデザイナー協会
参加費 無料
お問合せ先 日本毛織物等工業組合連合会<TEL:0586-72-4345>