2025 Autumn / Winter Bishu Material Exhibition(BME) 開催レポート!

昨今の気候変動の影響で、かつて感じていた秋の高揚感や冬らしい寒さを味わう機会は減少していますが、秋冬物の衣料品といえば「ウール」を思い浮かべる人は多いでしょう。そんな秋冬シーズンが到来し、尾州産地はその強みを発揮する時期を迎えています。その象徴ともいえる「2025 Autumn/Winter Bishu Material Exhibition」が、2024年9月25日(水)から26日(木)にかけて、東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLで開催されました。

会場に入ると、アフターコロナでの初めての活気に満ち、多くのバイヤーたちが来場して出展者との商談を進めていました。会場中央に設置されたディレクションコーナーは、他の素材展にはない重厚感が漂い、高級素材の産地である尾州の存在感を強烈に印象づけました。2025年秋冬シーズンのディレクションテーマは「Rebalance(リバランス)」。内と外、静と動、光と影など、対極的な概念の共存を目指し、バランスを取り戻す重要性を訴えています。

この「Rebalance」というテーマのもと、次の3つのコンセプトが提示されました:

  1. SPLENDID MODESTY(壮麗なつつましさ)
    ペールトーンを基調にしつつ、ブラウンやオレンジなどの暖色も取り入れた素材が展開され、ナチュラルな質感とともに、ベーシックなチェック柄や幾何学模様が組み合わされていました。
  2. MINIMAL VIP(ミニマルなVIP
    グレーやダークネイビーなどの寒色系を中心に、梳毛や紡毛、ボンディングなど、ミニマルかつコンパクトな素材が並びました。
  3. QUIET ISLAND(静かな島)
    ライトグレーやライトベージュの柔らかな色合いと、対照的に濃いグリーンやネイビーの陰影が際立つ素材が展示され、ツィードや塩縮などの表面効果を持つ素材が印象的でした。

いずれのテーマにおいても、尾州ならではの重厚感を保ちつつ、これまでにない新しい表現がなされており、リネンやシルクといった天然素材との交織など、多様なラインナップが来場者の興味を引きつけていました。

今回の展示会には、主催者発表によると、昨年とほぼ同じ867名(学生を除く)が来場しました。来場者の注目を集めたのは、ナチュラルカラーや白・黒などベーシックな色調の素材が多く、特に表情や凹凸感のある素材が人気でした。アパレル業界における保守的な傾向が現れている一方で、「売れるアイテムを作るための売れる素材」という視点での選定がなされているようです。

しかし、ベーシックな素材に加え、尾州の新たなカラーやデザインに挑戦する姿勢も必要です。ファッションにおいて素材は欠かせない要素であり、今シーズンは「素材とは何か?」という本質を問い直す機会になったのではないでしょうか。このような時代にあって、尾州が「選ばれる産地」としての存在感を示した展示会だったと言えるでしょう。

エントランス 会場内
SPLENDID MODESTY SPLENDID MODESTY
MINIMAL VIP MINIMAL VIP
QUIET ISLAND QUIET ISLAND
会場内 整理技術PRコーナー

【開催概要】

開催日程 2024年9月25日(水)~26日(木)
開催時間 25日(水) 9:30~18:00
26日(木) 9:30~17:00 (最終入場は終了時間30分前まで)
開催場所 WITH HARAJUKU HALL (3F)
<東京都渋谷区神宮前1-14-30>
主催 公益財団法人尾州ファッションデザインセンター
入場 無料
出展社 岩田健毛織(株)長大(株)時田毛織(株)
日本エース(株)林実業(株) ヒラノ(株)
ファインテキスタイル(株)三星毛糸(株)
みづほ興業(株)宮田毛織工業(株)虫文毛織(株)
森織物(資)
お問合せ先 公益財団法人尾州ファッションデザインセンター
愛知県一宮市大和町馬引字南正亀4-1
TEL:0586-46-1361 FAX:0586-44-7455