2022年10月中旬より訪日外国人観光の個人旅行が許可され、旅行での入国が査証免除で可能となり、また、日本がコロナ禍に定めていた入国者数上限が撤廃された。そして同時に世界中の国々が2023年に入り、個人旅行の制限が解除され、コロナ前の状況に完全に戻った訳ではないが、俗にいう“アフターコロナ”と言われる時期に突入している。2023年3月13日からは日本も“マスクの着用”が個人の判断となり、このままの状況が続けば5月上旬にはさらにもともとの日常に近い状況が生まれつつある。繊維・ファッション業界においても、多くのリアルイベントが開催されるようになり、再会の歓喜をイベント会場の各所で聞かれるようになった。そんな“アフターコロナ”と言える2023年2 月16 日(木)~17 日(金)に、(公財)一宮地場産業ファッションデザインセンター(以下、FDC)主催による20th JAPAN YARN FAIR(以下「JY」)&総合展「THE 尾州」が開催された。昨年より大幅に出展企業も増加し、来場者の動向が気になるところであったが、ふたを開けてみれば、多くの来場者が会場に足を運び、“アフターコロナ”を期待する地場産業の活性化に寄与したように思う。
B to Bメインの<20th JAPAN YARN FAIR>においては、初出展の企業も多く、来場されたバイヤーからも「良き商談が出来た。」、「尾州の活気を感じた。」、「盛況なイベントだった。」と多くのコメントが寄せられたようだ。実際のところ、会期中の来場者も3,515 名(内ビジネス関係者2,778 名、一般・学生737 名)と昨年よりも854 名増となり、業種ごとの内訳がテキスタイルメーカー25%、問屋・商社22%、アパレル・小売7%、その他繊維企業・団体学校行政等・他業種企業46%と、都心部ではない場所での開催に対してビジネス目的の来場者が多いことがFDC発表のデータからも伺える。
そして、B to Cメインの<総合展「THE尾州」>においては、従来の出展ブースに加えて、■装苑賞受賞作品展示、■ナゴヤファッションコンテスト2022 グランプリ作品展示、■「いちのみや芸術商店街」作品展示、■尾張西部地場産品特設販売コーナーなど、一宮市を中心とした尾州地域の多様な情報を来場者に訴求し、こちらも多くの一般来場者から反響があったようだ。また、<総合展「THE尾州」>のメインイベントとして、suzusan のクリエイティブデレクターとして海外でも活躍する村瀬弘行氏による特別セミナー「手元の魅力・日本の価値の伝え方」を開催したり、会場に足を運ぶことが難しい方々に向けてのオンラインサイト「総合展『THE 尾州』ONLINE」の配信等も行い、まさに“総合展”という名にふさわしい多方面・多角的な視点での展示が一同に介した。出展者からも「休憩を取ることが大変なくらい多くの方々に来場いただき嬉しい限りです!」という声も主催者には寄せられたようだ。
現在の国内及び海外での社会情勢やアフターコロナでのビジネス転換期の中で、日本の国内製造業者の今後の対応が明暗を分けるとも言われる動乱の時代。地場産業を新しいステージに押し上げ、進化した「Made in Japan」を市場へリリースするためには、官民が一体となって無駄なく意味のあるアクションが必要になっていくのであろう。産地の疲弊と言われて長い年月が経過するが、アフターコロナで待ったなしの状態を考えると基本に立ち返り「ビジネスの目的とは?」を再考する時期なのだと思う。イベントをただ開催することに意味がある時代はとっくに終焉を向かえ、イベントを契機に次に進む必要がある。昨今のイベントも2分化され、出展者のやる気・熱気で場内の空気感は一変する。今回の<20th JAPAN YARN FAIR & 総合展「THE尾州」>は、会場に足を踏み入れた瞬間にその“活気”に満たされており、次のステージに向かうその底力が尾州にはまだまだある!と思え、国内繊維産業のターニングポイントにおいて意味のある開催であったと思う。
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受付風景01 | 受付風景02 | JAPAN YARN FAIR |
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総合展セレモニー | JTCセレモニー | 特別セミナー |
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JTC優秀作品展示01 | JTC優秀作品展示02 | 尾州インパナ塾展示 |
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翔工房作品展示 | 尾州マークPRコーナー | 糸と布の市 |
会期 | 2023年2月16日(木)~17日(金)10:00~17:00 |
会場 |
一宮市総合体育館(一宮市光明寺字白山前20番地) いちい信金アリーナほか ※会期中、一宮駅より会場までの無料シャトルバス有り JR木曽川駅からのシャトルバスはありません。 |
入場 | 無料 |
主催 | 公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター |
共催 | 一宮市、愛知県繊維振興協会 |
特別協力 | 日本毛織物等工業組合連合会 |
後援 |
中部経済産業局、愛知県 (一社)日本アパレル・ファッション産業協会、中部羊毛産業協会 愛知県撚糸工業組合、名古屋毛織工業協同組合、尾西毛織工業協同組合 尾北毛織工業協同組合、岐阜県毛織工業協同組合 |
協力 |
日本化学繊維協会、日本紡績協会、日本羊毛産業協会 日本毛整理協会、ハローワーク一宮 |
詳細 |
ジャパン・ヤーン・フェア&総合展「THE 尾州」・プロダクト事業 | 一宮地場産業ファッションデザインセンター (fdc138.com) ※コンテンツに関して、中止や変更等の情報は、こちらのURL(↑) にてご確認ください。 |
出展企業 |
【紡績メーカー、糸の取扱企業】
【染色整理加工関連】
【繊維関連機器展取扱企業】
【繊維関係企業】 |
【総合展「THE尾州」Online】
サイトは2/16(木)にサイトオープン
会場は⇒18th JAPAN YARN FAIR & 総合展「THE 尾州」- オンラインとオフラインの
同時開催開催 – (bishu-japan.com)
☆その他コンテンツ
□JAPAN TEXTILE CONTEST 2022:優秀作品の衣装化動画配信
□翔工房:作品発表動画配信
【総合展「THE尾州」常設展~会場展示~】
■JAPAN TEXTILE CONTEST 2022:優秀作品展示
■翔工房:作品展示
■尾州マーク:PRコーナー
■学生向け企業情報コーナー:産地に興味のある学生の方に向け企業情報を提供
■尾州インパナ塾:カリキュラムの後半に行った卒業制作を展示
■尾州の匠ものづくりリレー作品展:織布工場にて、自ら企画し、織機の操作も行い、一からものづくり
を実践する若者の試作品を展示
■尾張繊維技術センター研究試作展:研究成果の活用や試作開発した作品を展示
■一宮商工会議所地域資源活用事業紹介コーナー:一宮商工会議所が取り組んでいる地域資源活用事業を紹介
【イベント】
<会場:いちい信金アリーナA 特設ステージ>
■2月16日(木) 9:40~10:00
オープニングセレモニー:開場に先立ち主催者挨拶等を行う
■2月16日(木) 10:00~10:40
JTC2022セレモニー:グランプリ等の主要な賞を表彰
■2月16日(木) 14:00~15:00
特別セミナー:村瀬 弘行氏による Special Seminar「手元の魅力・日本の価値の伝え方」
※受講料・・・無料
・予約フォームまたは別紙申込書から先行予約を行い、先着100名に着座を保証します。
・当日も予約なしで入場可能ですが、新型コロナウイルス感染症の状況等により入場制限
を行う場合があります。
(先行予約期限:令和5年2月3日(金)17:00まで)
<会場:いちい信金アリーナB>
■2月16日(木)・17日(金) 10:00~17:00
糸と布の市:FDCと尾州産地の企業が生地や糸、製品を販売