今シーズンより会場を原宿へ移し、ファッション業界的には地の利がよく、新しい会場ということもあって非常に開放感のある会場で2日間に凝縮しての開催となった。
緊急事態宣言やまん延防止策も解除となり、少しずつ嘗ての人流が戻りつつある中での開催ではあったが、コロナ禍という状況は相変わらずであり、重ねて不安定な世界情勢、インフレ、物流問題など等、製造業を取り巻く環境は良くなるどころか不安要素が増加しつつある。それでも、日本の製造業は日本経済の要という信念に繊維業界を含む多くの製造業が切磋琢磨として突破口を見つけようと手探り状況であることは一般消費者にも伝わってくる。そんな状況下になると製造品の二極化が生まれるのではない? ある程度の品質で安価なもの、そしてこだわりの品質でオリジナリティのある高価もの。もちろん、日本製品は後者になる訳だが、ファッションにおいてもこの二極化が進んでいるように感じる。中途半端な洋服はいらない、、、そんなムードはコロナ前から始まり、このコロナ禍で顕著になっているように感じる。そんなこともあってか、今まで3日間開催であったBME展も2日間開催に凝縮したにも関わらず、オンライン展示会と合わせた同シーズン比で18%増となる来場者となり、リアル展に至っては、30%増の591名という結果となった。具体的なところだと、出展10社のサンプルリクエスト数は、延べで3,922点(延べ社数:637社)という数字から見ても、冷やかしや表敬訪問は激減し、商談意識の高い来場者が多かったことが伺える。昨今のサステナブル意識の拡散はあるにしろ、それ以上に出展各社の特徴がわかる素材への興味が強かったことからもいかに個性重視で商品の差別化を図ろうとするアパレルサイドの企画の方向も見えてきているように思う。実際の展示会場でも、ハイブランドのトレンド傾向同様に、「これが尾州?」と言えるほどカラフルな素材が特に目を惹いた。ファッションは経済・社会、そして人の感性や感情にリンクすると言われるが、少しだけコロナ禍が緩くなった感のある今、嘗てのような外着仕様とまでは言わないまでも、リラックスウェアでもまさに「色が欲しい!」という人の気分を上手くピックアップしていたように思う。
いわゆる産地展と言えど、PR重視ではなくビジネス重視での実施が必須であり、出展企業も同意識を持った企業でないとWithコロナ時代を生き抜くのは難しい時期はとっくに来ている。コロナ禍を理由にするでも良い、タイミングを逃すことなくこれからのビジネスの手法を展示会を通して、産地企業が取得していって欲しいと願っている。
【開催概要】
開催日程 | 2022年4月21日(木)~22日(金) |
開催時間 |
21日(木) 9:30~18:00 22日(金) 9:30~17:00 (最終入場は終了時間30分前まで) |
開催場所 |
WITH HARAJUKU HALL |
主催 | 公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター |
入場 | 無料 |
出展者 |
岩田健毛織(株)/ 長大(株) / 日本エース(株) / 林実業(株) / ヒラノ(株) / ファインテキスタイル(株) / 三星毛糸(株) / みづほ興業(株) / 宮田毛織工業(株) / 森織物(資) |
感染防止 対策 |
・来場者全員に検温を実施 |
同時開催 | 2023 Spring&Summer BishuMaterial Exhibition (bishu-japan.com) |
お問合せ先 |
公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター 愛知県一宮市大和町馬引字南正亀4-1 TEL:0586-46-1361 FAX:0586-44-7455 |