<Kのつぶやき>ウールの生分解性実証実験Vol.2

 

 2023年10月31日(火)~11月1日(水)、東京国際フォーラムで開催されたJFW JAPAN CREATION2024(以下JFW-JC)内にて、「Bishu Style 2024」が開催された。

 昨年は、“ウールのサステナブル”についてパネル展示と初めて実証実験結果を展示したが、今年も同じものを展示しても意味がない!と思ったのがことの発端だった。出展するメーカーも来場者にも馴染みのある“ウールのサステナブル”は、“生分解性”と“リサイクル”、他のウールの機能性をパネルで展示することは容易だが、“実物展示のインパクト”が大事だと思う気持ちが揺れていた。

 そこで「あ!」と思ったのが、今年の春にRX JAPAN主催で行われた“サステナブルファッション EXPO”の中で出展された日本ウールサステナブル委員会による“ウールのサステナブルブース”でお会いした旭化成(株)の知合いから聞いた、“旭化成(株)のベンベルグとウールが混紡された糸で出来たニット素材を海洋生分解性実証実験計画”だった。

“同じニット生地を海洋ではなく、土に埋めたらどうなるの?”
“研究室のプラントではなく、普通の家庭用プランターで普通のベランダで埋めたらどうなるの?”という疑問だった。

 そこで、旭化成(株)の知合いに連絡を入れ、少しだけ““旭化成(株)のベンベルグとウールが混紡された糸で出来たニット素材”を分けていただいた。この素材と、昨年、生分解が一番進んだ“ウール100%の加工後素材”を並べてプランターに埋める!という実験をスタートさせた。本Blogでは今年、「ウールの生分解性」について、実際に行った実験を解説してまいります。

 “ウール素材が普通の家庭用プランターで生分解する”のは、昨年の実証済。昨年は3か月弱と短い期間での実証実験でしたが、今年は期間を長めにとり約5か月での経過を観察してみた。そして、昨年同様に観測場所は弊社のベランダにプランターを置き、実際に2種の素材を土に埋めてみた。しかし、期間が長いことで、全てが生分解されてしまったら、何もなくなってしまうので、今年は生分解しない金網にポリエステルの糸で、2種の素材を縫い付けてものを用意した。

 生分解が促進される理想的な環境条件は、“温度&湿度”であるために日本のムシムシする夏前の梅雨も経験させることで促進するのでは?という仮説だった。また、バクテリアによる生分解であることは、昨年のパネル展示でも説明したように、ウールは生分解だけでなく、生分解された結果、草木が成長するのに好条件となる土壌の断層構造を形成することが机上ではわかっているので、このバクテリア促進のために、魚が泳ぐ水槽(水中バクテリア混在)の水を定期的にプランターへの水やりに活用した。また今年は、洒落ではないが、コットンの種<ベンベルグはコットンリンター(コットンの種の周りにある産毛のような繊維)を原料にしている>を植え、その発芽率や成長度合いも同時に観察してみた。


実験期間:2023年5月25日 ~ 10月27日(約5ヵ月)
使用素材:①「先染めウール100%(後加工済)の布帛」及び
     ②「ウール30%/ベンベルグ70%混紡のニット」

*2023 年5 月25 日 
 気温:21℃ / 湿度:55% / 気圧:1022hPa
 コメント:小さな金網を見つけるのに苦労するも、縫い付けの下準備も完璧! それだけ
      生分解の差が出るのか楽しみで埋めた。

*20223年8 月16 日 
 気温:29℃ / 湿度:78% / 気圧:1005hPa
 コメント:プランターに蒔いたコットンの種から芽が出た。しかし、①ウール100%の方 
      はまだ芽が出ず、②ウール×ベンベルグの方のみ発芽した。

*2023年 10月 10日 
 気温:25℃ / 湿度:65% / 気圧:1005hPa
 コメント:プランターに蒔いたコットンの木が、だいぶ大きくなった。驚いたのは
      ②ウール×ベンベルグの方よりも①ウール100%の方が発育が良い。
      発芽は遅かったが、発芽してからの伸びが違う。おそらくこれは、種を
      蒔いて発芽させる際の土は、栄養分は少ない方が良いというのが園芸業界
      で言われていること。発芽してからは、ある程度の肥料が必要になるとも。
      これにより、仮説通り、①ウール100%を生分解した土は養分を多く含んで
      いるということなのでは?と思った。

*2023年 10月 27日 
 気温:23℃ / 湿度:55% / 気圧:1008hPa
 コメント:展示会前に、2種の素材をプランターからり起こしてみる。普通の家庭用プラ
      ンターでの生分解性を観察する!ということであったが、見事に生分解されて
      いた。非常に面白いのは、①ウール100%の方の生分解は、全体的に生分解
      するのではなく淡色の部分がほとんど原型がない程に生分解しており
      ②ウール×ベンベルグの方は全体的に生分解し、素材自体がもの凄く薄くなっ
      ていた。これは、どちらも原料ではなく、染めた染料による影響が観察された
      結果だと思っている。

this blog written by T.Kanemaki
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