<Kのつぶやき>ワークマンのウールボクサーパンツ!~ワークマンで販売していることの意味~

 ウールの機能性、特にメリノ種の吸湿速乾性や調湿性、抗菌・防臭効果に着目し、さらにメリノ種という繊維自体が特に細くて柔らかいことから、肌着への活用はいろんなメーカーが商品化している。特に、本格的なアウトドアブランドからは古くから販売されていたウールの肌着ですが、一昨年あたりから俗にいうファストファッションの分野でも普及してきている。正直、本格的なアウトドアブランドの商品はその効能を追求していることもあって価格的に“いいお値段”になることは当然のこと。一昨年、ユニクロから「+S」というスポーツラインが発表された時に、ウール混の長袖のカットソーが販売された。これも前述のようにウールの機能性を視野に入れた商品開発による賜物であり、ある程度の数量を製造するユニクロからの販売ということで価格と共に注目された。

UNIQLO “ウールブレンドドライTシャツ”

 この商品は、“ウールブレンドドライTシャツ”という名称で、ポリエステル62%(内、38%はリサイクルポリエステル繊維を使用)、ウール38%という混率で2,990円でした。このTシャツは特にメリノ種のウールという表記はなく混率も38%とウールの比率は少なめでした。しかし、この2,990円という価格はさすがユニクロ!と言わざるを得ない。当時、店頭に見に行った際にも多くのお客さんが手に取って見ていたことを覚えている。肌に直接、触れる商品というもあり袖付けは縫製させているが前身ごろと後ろ身ごろの縫い合わせはない。また肌への接触面を減らすためなのか、ワッフルとまではいかないが高低差の低い格子状の編みになっており、ちょっとサーマルシャツのような見た目である。
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【ウールブレンドドライTシャツ】
■品番:447211
■品質:<本体>ポリエステル62%/ウール38%
    (ポリエステルの内、38%はリサイクルポリエステル繊維を使用)
■販売元:株式会社ユニクロ
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 そして、さらにウールの機能性を前面に押し出していると思われるのが、このワークマンで販売されている“メリノウール ボクサーブリーフ”だ。私の学生時代の友人は、ワークマンを“男のロマン”と称していたが、この商品は、昨今のファッション性を高めたワークマンライン商品ではなく、昔からある職人御用達のラインからの販売であり、ファッション性を高め都心で展開する“ワークマン Plus”や“ワークマン女子”のみを扱う店舗には置いていない本物志向だ。単にウールというだけではなく“メリノウール”を全面に押し出している。私も試しにこの春夏商品として発売された時に遠くの“男のロマン ワークマン店舗”まで行き、購入した。ファッション系Youtuberは、洗濯すると縮まるのでマイサイズより1つ上のサイズ購入を勧めていた。アンダーウエアとなると洗濯の頻度も上がるので、フェスト化するウールは“そりゃ~縮まるでしょ!”と思いながら、3~4回、実験的に普通洗い(ネットなし)で洗ってみた!

画像の商品はLサイズを2枚購入し、1枚を未着用で3~4回洗濯した状態

 

未洗濯のものと洗濯済のものを並べるとこんな感じ

 

パッケージもメリノウールを全面に押し出したデザイン

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■品番:11297
■品質:<本体>ポリエステル50%/ウール50%
    <ウエストゴム部分>ナイロン60%/ポリエステル50%
■販売元:株式会社ワークマン
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 確かに全体的に3cmくらい縮小しているが、洗濯回数なのだと思いますが、“あ!こんなものか!”と思ったのが正直なところ。

 今回なぜ、このブログを書こうと思ったかというと、前述のように本格的なアウトドアブランドではなく、広く一般消費者が目にし、買い物するファストファッションの分野においても、ウールの機能性を研究し安価で商品化する動きが始まっているということに大きな意味があると感じたからだ。いくらウールの機能を机上や専門的な解説、わかりやすい図解な等を用いたとしても、多くの消費者が頭では理解したとしても日々の生活に溶け込むことはなかなかの至難かと感じている。衣料品とは人が身につけて実感して理解するものだと思っているので、手に取りやすい価格でウールの機能性を実感する機会が触れることは、ウール業界にとって、良い傾向なのだと思う。“夏にウールの下着?”と思う消費者はまだまだ多いはず。嘗てはファッション業界においても夏には“サマーウール”、“クールウール”と言って多くのハイブランドがウールを好んで使っていたが、素材の開発は日進月歩であり、昨今では気候変動も重なりより快適で、自宅でのケアが容易で、安価なものへとシフトしている。“快適・容易・安価”というイメージでウールを思い浮かべる人は少ない。しかし、今回のように素材が持つ本来の機能を消費者目線で研究・検証し、市場にリリースする動きを応援したい!と心から思った次第です。

「春夏には春夏のウール」、「秋冬には秋冬のウール」があります。

 製品化するアパレルメーカーやクリエーターブランドの商品開発者が素材の特性を徹底的に理解し、消費者マインドを動かせるような視点で、それぞれの季節に合ったウール製品をリリースしてくれることを願っています。


this blog written by T.Kanemaki
*本ブログは筆者の独断と偏見の元に記載されておりますので、ご了承ください。