<Kのつぶやき>ウールに潜在するサステイナブルの可能性【地産地消と世の中の流れとサステイナブル意識編】

さてさて、今回でラストになります連載ブログ「ウールに潜在するサステイナブルの可能性」。最後はそれかい!というお話でございます。

【地産地消】

・世界三大ウール産地とはイタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールド、日本の尾州を指しています。また地政学的にも日本のウールは独自の進化を遂げています。もちろん、「Theウール」というようなベーシックな日本国産ウール100%はありますが、世界的に評価を得ているのは、「独自性」「伝統」「再現性」なのだと思う。欧米のウール製造業社が行わない細かく難解な作業でしか生まれないウール、明泉を多く所有する日本ならではの“水”によって生まれる染色・加工等の後加工技術、民族性に由来する一寸違わずの美学に紐づく何度オーダーしても同じ素材が出来上がる几帳面さ、日本独自の色彩、人肌を意識した風合い、湿度の多い日本ならではの軽さや表情感、原料の特性を研究しウールにない特徴を補完する他原料との混紡や交織・・・その特徴を上げればキリがない程。これほどまでにウールのバリエーションを揃える産地は尾州しか世界中に存在しない。そんな世界的にも評価の高いウール産地が国内にあるということは、もちろん調達する際にも陸路での輸送が可能であり、さらに早い。この点では二酸化炭素排出の削減にもつながっている。このことはすでに食品業界でだいぶ以前より言われているが生活用品全般において“地産地消”は誰にも継続的に出来るサステイナブルアクションなのだと思う。

尾州とは・・・7世紀後半の書物に出てくる「尾張国(おわりのくに)」という日本の地方行政区分だった令制国の名称が起源とされている。愛知県北西部から岐阜県羽島市、各務原市(かかみがはらし)を中心としたエリアを指し、愛知県一宮市を流れる木曽川が伊勢湾へ川水を注ぎ、その一帯に広がる肥沃な濃尾平野が形成されることで、桑畑(シルク糸を作るのに欠かせない蚕が食する桑の畑)や、綿花畑に適した土壌や木曽川の軟水が染色加工等に適していた環境下の中で、尾州産地では繊維産業が繁栄してきました。この恵まれた環境と社会状況に順応するように「麻⇒絹⇒綿」と主要原料を時代と共に変化させながら、昭和初期からは毛織物が盛んになり、現在では世界的な毛織物産地であるイタリアのビエラ地区と並び、世界を代表する毛織物産地と称され、日本国内毛織物生産の約7割を占め、名実ともに日本最大の毛織物産地となっています。時代が平成になると市場が求める需要に合わせて毛織物を中心に、綿や麻、シルク、そしてハイグレードな化合繊との複合織物・編物の総合産地として、糸から染色、織り・編み、仕上げに至るまで一貫した生産体制を整え、多品種少量生産、高品質で高感度な素材を生み出しています。

<キーワード>
・世界三大ウール産地
・尾州
・地産地消
・二酸化炭素排出の削減

【世の中の流れとサステイナブル意識】
 経済産業省のみならず、環境省が薦めるサステイナブルファッションが提起されています。省の特性から環境に配慮した「循環型モデルで廃棄のない世の中へ」というスローガンを掲げています。これは素材ではなく消費者へ向けてのメッセージでありガーメント製品のサステイナブルな考え方となっています。

 以下の図を見て、どの分類にはいるのかも今後は、大切なことだと思う。

SGD’s ウェディングケーキ モデル

 環境省が薦めるサステイナブルファッションも過度に行き過ぎると「日本のモノづくり」がさらに縮小していくと思いますし、経済産業省が薦めるガチガチのサステイナブルだと経済は回るが、こじつけの目先のみを見たサステイナブルになってしまう。サステイナブル概念のみならず、世の中は全てバランスの上に均衡を保つものであるという考えに立つと、はやり自分が出来ることを自分が出来る範囲の中で、「自分だけ、今だけ、金だけ」ではない「全体の中での自分」というちょっと俯瞰した見方をすれば、自分に合ったサステナイブルが見つかるのだと思います。

<環境省 サステイナブルファッション HP>
環境省_サステナブルファッション (env.go.jp)

<環境省 サステイナブルファッション Youtube>
これからのファッションをサステナブルへ ~ Sustainable Fashion ~ – YouTube


<キーワード>
・サステイナブル意識
・SGD’s ウェディングケーキ モデル
・日本のモノづくり
・「自分だけ、今だけ、金だけ」
・循環型モデル

以上。

7回に渡って、ウール特有の性質から潜在しているであろうサステイナブルの可能性を書き出してみました。他を下げて己を上げるのではなく、己が持つ本来の特徴を全面に活かし人々の生活の中に自然と溶け込んで行けるウールは、動物と共に進化した人類が常に寄り添い、互いのメリットを享受する関係だったのだと思います。それはこれからも同じであり、互いを尊重し合うことで永続的に続く。経済界が推し進めるサステイナブルへの取組みは経済を回すという意味では大きな意味を持つが、一般消費者自らが出来ることを長く行うことが本当の意味でのサステイナブルだと私は思います。そういう意味では、今回書き出したウールの潜在性以外にも驚くべき機能があるのかもしれない。それは人が作り出したものではなく動物という自然界に存在し続けてきた生き物であるからだ。古くて新しい“ウール”の魅力はまだまだ続くと信じています。

 

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《各編での全ての参考文献》
・Wikipedia HP
・環境省 HP
・コトバンク HP
・化粧品原料事典 HP
・ザ・ウールマーク・カンパニー HP
・鈴憲毛織(株)HP
・繊維学会誌 第75巻 第10号
・(株)トーア紡コーポレーション  HP
・ヤンマーホールディングス(株) HP

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this blog written by T.Kanemaki
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