<Kのつぶやき>繊維産業サスティナブルと消費者意識 ~アパレル編~

前回のBLOGでは、テキスタイル編として消費者意識を軸にしたサスティナブルについて私見を書かせていただいた。今回は、結びとなるアパレル編として私見を書かせていただきたいと思う。

前回のテキスタイル編で、「消費者がわかりやすく意識できるサスティナブルとは?」として「公正な環境作り」、「現地生産」、「透明性」、「衣類交換・中古」、「アップサイクル(リサイクル)」、「スローファッション&ミニマリズム」等を列記させていただいた。あくまでも一般消費者がイメージし易い(理解しやすい)事例を挙げた訳だが、“ファッション” と考えた場合に、この中でも「アップサイクル」は業界が取組み案件としてはとても意味のあることだと思う。リサイクルして、同じものが高額になったり、ダウンサイクルになるのでは意味がない。(要は売れなければ意味がない。)アップサイクルすることで、ファッション性がアップし、付加価値がアップすることで業界としての存在意義があるではないだろうか。例えば、どのような商品なのか?を以下に私が気になっている事例を挙げてみようと思う。

■ECOALF(エコアルフ) 
 URL:ECOALF(エコアルフ)公式オンラインストア

2009年、スペイン・マドリードにて創業されたECOALF。日本では、2019年に大手アパレルである(株)三陽商会がECOALFを運営する企業「エコアルフ リサイクルド ファブリックス」と合弁会社、エコアルフ・ジャパンを設立し翌年の2020年春から同ブランド商品の日本国内展開を開始し、自社企画商品の投入されている。サスティナブルブランドとして認知度がアップしてきているECOALFは、「ナイロンやコーヒー、ペットボトル、コットン、ウール、タイヤなどの廃棄物を原料に、環境負荷の低い素材で作った衣服や雑貨を製造・販売する。また、素材開発だけでなく、商品生産、販売に至るまでサプライチェーンの全工程において環境負荷軽減に努めている。」を謳っている。ブランド理念は、<着ること・楽しむことで、環境保全に貢献できるブランド>であり、<「because there is no planet B」=「第2の地球はないのだから」>とのことだ。

■cotopaxi (コトパクシ)
 URL:Cotopaxi – Gear For Good | Free shipping on orders $99+

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティで誕生した話題のアウトドアブランド Cotopaxi(コトパクシ)。2021年からは、日本での販売もスタートした。特筆すべきは、SDGsの17の大きな目標に掲げられている「貧困をなくそう」を掲げるブランドであり、コトパクシから展開される創意工夫を凝らしたサスティナブルなスタイル、かつハイクオリティなラインナップは秀逸そのものだ。アウトドアブランドの特性を活かした機能性や色使いは、サスティナブルブランドでなくても、手にしたい商品群である。
ブランド理念は、「(Re)Purpose素材を用い、創意工夫を凝らしたサスティナブルなスタイルを生み出す。Purposeは「目的を持つ」こと、Repurposeは「再度目的を持たせる」こと」とのことだ。本来別の目的で製造された高品質な残材を仕入れ、それらを使用して製品を作ることで、その残材に再度目的を持たせている。

■京都紋付
 URL:株式会社京都紋付 – 京都の黒染め・染め替え (kmontsuki.co.jp)

京都紋付は、日本の伝統的な正装である黒紋付だけを、100年間染め続けてきた会社。着物の世界での黒染めでは、何度も下染めを繰り返し、色を重ねていく必要があり大量の染料を使い、多くの手間がかかった。現在では、染め職人の熟練の技と長年の経験が生み出す独自の勘をもとに染料の温度を微妙に変化させながら、数十回にもわたって生地を上下させて染めを繰り返し、究極の黒を完成させている。天然の藍を使用し、手間のかかる「染める、干す」を繰り返して、染められた生地は深みが増し最高峰へと仕上げられていく。この技術を洋服の“染め直し”に活用し、もともとの洋服を新たな価値を付加したものへと昇華させている。日本の伝統技術を活用したアップサイクルの象徴とも言える。

■SCRY(スクライ)
 URL:SCRY (scccccry.com)

リサイクル可能な原料を使用した世界初全3Dプリンターで製造されたスニーカーブランド。2021年1月より販売がスタートし、生まれたばかりのブランドであり近未来的なデザインもさることながら、購入者が全てカスタマイズできるのもブランドの特徴となっている。将来的には、サスティナブルな意識をプログラムされ、テクノロジーを駆使した“モノづくり”が当たり前の世の中になるのかもしれません。

また、アップサイクルだけでなく生産という観点では、“キチン”としたマーケティングのもとに「過剰在庫を持たない」という基本は言うまでもない。

嘗て、SPAアパレル勤務の方々数名に「在庫ってどうなされてるんですか?」と聞いたことがある。この回答は明確で、割と皆同じようなものだった・・・。

「プロパーで販売する」
 ↓
「店舗でセールを行う」
 ↓
「社内セールを行う」
 ↓
「ファミリーセールを行う」または「アウトレットモールで販売する」
 ↓
「発展途上国または新興国へグラム売りで販売する」

上記のように、販売機会を増やしているので、結果「在庫はない」ということであり、サスティナブルなアクションをしている!とまでいう方もいた。

私は、この話を聞いて疑問しかなかったのが正直なところだ。それは「大量生産」、「大量消費」というベースは崩す気がないという点であった。カーボンフットプリントの観点等、視野に入っていない、下手するとグリーンウォッシュになるのでは?とも思った。

また、大手アパレルだとOEMやODMでの生産も多く、企業内で同じような素材で同じようなアイテムを生産している場面が散見され、内心で“同じ商社へ依頼し、同じMDがやってたらこうなるよなぁ~。”と思ってしまう、挙句に社内のブランド同士の共食いになっていたら、社内としても問題なのでは?さらに各事業部がそれぞれで同じ素材を調達しているケースもあり、これも無駄な行為である。

根本的な意識の変革が行われないと、何も変わらないということは確かだ。

ちなみに・・・でフランスのファッション業界でのサスティナブに関する動向をJETROがレポートしているので、紹介したい。
JETRO レポートはこちら⇒https://www.jetro.go.jp/world/reports/2021/01/3f6cf43ab5fd45fe.html

さて3回にわたって、独断と偏見のもとに勝手にサスティナブルについて書いてきましたが、本BLOGのベースにしたのは、先日3/17にインターテキスタイル上海の会場で放映されたセミナー(「概要:2022春夏素材トレンドに続き、マーケットを通しての現在の日本のファッションの流れと動き、これからのビジネスと環境への取組み。」にて第二部のファッションパートを私が講師をさせていただきました!)の内容から抜粋し、付加したものになります。

最後に、3年前にもインターテキスタイル上海の会場で行ったセミナーでも話をしましたが、本当にサスティナブル社会をつくるには、「自分だけ」「今だけ」「金だけ」の考えを改めないと不可能だと思っている。

そして、With コロナ時代のサスティナブルは、「誰と」「何を」「どうやって」アクションを取るのか?!がとても大切なモチベーションに繋がると思う。

サスティナブルに対する考え方は、人それぞれです。皆が同じ目的のために同じ方向を見て、各自の方法で行うアクションが、周囲の人々や地球環境に“持続性”をもたらすものであれば、どれも正解なのだとも思う。一般社会での生活者であると同時に、製造業に関わる者としては、この産業が“持続性”のあり、夢のある産業であって欲しいと願ってやまない。

 

this blog written by T.Kanemaki
*本ブログは筆者の独断と偏見の元に記載されておりますので、ご了承ください。