尾州産地デザイナーツアー「Bishu Material Session2014」開催報告

 日本毛織物等工業組合連合会、尾州テキスタイルデザイナー協会が主催となり恒例となっている尾州産地デザイナーツアー「Bishu Material Session2014」が2014年11月27日(木)~28日(金)に行われた。7回目となる尾州産地デザイナーツアーの今回のテーマは、ずばり「尾州産地素材を探しに行こう!」。日本の素材産地を訪問する機会が少ない新進気鋭なファッション・デザイナー数名を尾州産地に招き、尾州素材の理解と懇親を深め、双方の感性とビジネスの連携を図ることを目的とした事業としてスタートした本事業の真髄は産地研修ではなく「商談の場」。回を増す毎にスワッチ依頼のみならず、着分オーダーや別注オーダーの商談、現物購入の件数も増している。

【主催】
日本毛織物等工業組合連合会、尾州テキスタイルデザイナー協会

【開催日程】
2014年11月27日(木)~28日(金)

【同行取材媒体】
繊研新聞社・名古屋編集局(12/2掲載)/ 繊維ニュース(12/3掲載)/リサーチニュース(12/9掲載)

【参加企業(50音順)/9社】
☆有限会社カナーレ / ☆川村ニット株式会社 / ☆木村員毛織株式会社 / ☆株式会社 桑原
ササキセルム株式会社 / ☆鈴憲毛織株式会社 / ☆株式会社ミロス / ☆虫文毛織株式会社
森織物合資会社

【スワッチ:参加企業(50音順)/1社】
★株式会社イワゼン

【参加メゾン(ブランド名アルファベット順)/6ブランド】

 ☆A DEGREE FAHRENHEIT(デザイナー:天津 憂/ 担当者:本田  剛)
 ☆GARDĒ COLLECTIVE(デザイナー:真木 瞳)
 ☆GUT'S DYNAMITE CABARETS(デザイナー:AKI)
 ☆Hidenobu Yasui(デザイナー:保井 秀信)
 ☆HISUI(デザイナー:伊藤 弘子)
 ☆lessthan*/MIDDLA(デザイナー:安藤 大春)

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<総括>

常連で参加するデザイナーは新規の取引先開拓が目的だったこともあり、新規参加のデザイナー含めて全訪問先で真剣な眼差しでの「ビジネスマッチングの場」となった。昨今では他産地でも「デザイナーツアー」を実施するケースも多く見られ、日本の繊維産地が属にいう「大手アパレル」を特別視することなく、「もの作り」を共有できる相手と価値観を共有しながらビジネスに繋げるという相互取引間の関係性も新たな時代に突入しているようだ。先駆者となる尾州産地の企業でも、「個人のデザイナーとは今まで取引したことがなく、自分も勉強するつもりで本事業に参加表明した。」という企業もおり、ロットの問題や過度な与信への危機感はもう過去のものだと実感するようであった。互いに自分ができる範囲の中でどれだけ歩み寄れるのか?という嘗ての「もの作りの現場」の声が飛び交うケースも多く見られ、チャージアップ覚悟での交渉や機業側も小ロットで生産可能な素材を提案する等の相互の工夫やアパレル企業とデザイナーメゾンの生産時期の違いを逆手にとって、既にアパレル企業が発注している素材と時期を把握し緯糸を変えてのオリジナル素材が可能か否かの確認や、コンバーターへの納品が決まっている素材をチェックするケースも昨年よりも進化しているようにも思える。

 円安による原料費の高騰、中国における人件費高騰により大手アパレルの生産現場が国内回帰している現状であるが、「日本のもの作り」を重視し、「Made in JAPAN」ならではの繊細且つ高感度な商品を世にリリースするためには、作り手同士が直接コミュニケーションを取り、意見をぶつけ、感性を共有するという本来の姿を垣間見ることのできる良い機会にもなっていると言えるであろう。

 実際には、今回の訪問で初めての業種となる補修メーカー「(株)桑原」へはツアー翌週にはデザイナーからの仕事発注があり、訪問2週間後には納品も終えている。さらに、スワッチ依頼のみならず再訪問の後に、サンプル反依頼等の発注も進んでいる。

 素材産地、デザイナーのもの作りに関する「イノベーション」を仕掛ける側がどのように触発し、具現化するのかが今後の課題であるとも言えるが、日常的なコミュニケーションとマーケティングを怠ることなく継続することで生まれる新しい価値創造を日本人として忘れてはならない。デザイナーの素材への理解を深めさせる手段、そして産地内でも商材の多様性を謳うための産地内連携など、クリアできることはたくさんあり、日本の繊維・ファッション産業の連携を推進するためにも今後とも実施していきたいと思う。