<Kのつぶやき>井筒和幸監督作品『宇宙の法則』

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 この映画を初めてみたのは5年前。たまたまネットで見つけ、アマゾンで購入した1990年公開された井筒和幸監督作品『宇宙の法則』。なぜにこの映画なのかというと「尾州の機屋(はたや)を題材にした映画が過去に制作されていた!」ということに興味津々だったからです。5年前にもこのサイトで紹介しましたが、今回改めて鑑賞してみた。

 詳細のあらすじは以下に記載いたしますが、映画が上映されたのが1990年ということもあってディスコやファッション、ヘア・メイク・・・と“バブル期”そのものです。故古尾谷雅人氏が演じる主人公・良明は東京で活躍する一流ファッションデザイナーという設定ですが、きっと当時はDCブランド全盛期ということもあって東京コレクションに参加するようなデザイナーを想定したのかな?とも想像してしまいました。
 「晴れ、ときどき殺人」、「二代目はクリスチャン」などヒット作はもちろんのこと、近年では「パッチギ」や「ゲロッパ」等で名をはせた鬼才井筒監督が、尾州の機屋(はたや)をどう描くのか、とても興味深くみました。家族の心理描写や主人公を取り巻く環境を、さり気なく浮き彫りにするワークはさすが!と思いました。(個人的には、もう少し機屋(はたや)という職業を深堀して欲しかったかも。何だか悲惨な部分のみが多いように思えるし、、、。)
 実はこの映画、尾州生まれの方が最終的には個人で資金調達され、井筒和幸氏に監督を依頼し制作されたものらしい。興行としてこの映画自体がそれほどヒットすることもなかったが、尾州での試写会では市民会館で大勢のテキスタイルメーカーから絶賛され、出演された俳優、女優が映画賞を受賞する程の隠れた名作だったようだ。この個人で資金調達された方は機屋ではないが、ひょんなことから私はお電話をいただき、その時の思いを聞かせていただき、感無量となった。
 25年も前の映画ですが、後継者や廃業の問題等、今もなお続く課題だと考えると日本の素材産地は25年間もずっと同じ問題を抱えているのだと考えさせられました。これは5年前と少しも変わっていない。少し違ってきているとすれば、「嘆いていても始まらない!」と気づいた機屋が増え、世代だけでなく、意識も変わってきている企業が少しずつ増えていると実感できることだろうか、、、。しかし、またその逆で被害者意識を増長している機屋もいる。他力本願、自己防衛、補助金、過去の栄光に縋ったまま、もう時代はとっくに「必要なものを必要な時に必要な分だけ」という意識でビジネス活動をしていることに1社でも多くの機屋が自覚して欲しい。もうすでに繊維業界はグローバルビジネスに活路を見出す時代であり、日本国内も販売先の1つでしかない。自国、自社の強みを押し出して主張する姿勢で進んで欲しいし、その転換期でもあるのだろう。激動の時代だからこそ、今の繊維産業が映像化されたらどのような角度からクローズアップされ、消費者がどうリアクションするのか?日本の製造業の意識の後押しをしてくれるのであれば、現代の鬼才の手により是非とも映像化して欲しいと願っている。

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【STORY】 
機屋(はたや)の父と対立して、一宮の地を捨てた良明は、一流デザイナーとしてその地位を築き上げた。しかし父の急死で家に戻った良明は、後継ぎのことで兄一也と口論となり、トップデザイナーとしてのプライドを捨てて故郷に戻る決心をつける。
東京に残した恋人、父が死んで機械を売ってしまった母と兄をなじる妹。素直な気持ちで、肩書きも捨てて一からスタートを切って生きていこうとする良明だが・・・。
地位もプライドも捨てて、自分らしく生きることを決意した一人の男の運命。
娯楽作品に定評のある井筒和幸監督が、世界初のデイライト・フィルム撮影に挑んだ意欲作。 

【CAST】
古尾谷 雅人、鳥越 マリ、横山 めぐみ、長塚 京三、竹中 直人、芦川 よしみ、馬渕 晴子、常田 富士男、なぎら 健壱、内田 春菊、柄本 明、寺田 農、三木 のり平

【STAFF】
監督:井筒 和幸
脚本:旭井 寧/井筒 和幸
主題歌:スターダストレビュー「1%の物語」

【備考】
毎日映画コンクール主演男優賞
ニューヨーク・アジア国際映画祭正式招待作品
バンクーバー国際映画祭正式招待作品
ハワイ国際映画祭正式招待作品

□公開日:1990年1月27日 
製作国:日本
製作:プロジェクト・アルシェ
配給:徳間大映
カラー/1時間59分/ビスタサイズ/モノラル

this blog written by T.Kanemaki